アイデアホイホイ〜3分のヒマつぶし

入れて出す、3分間・・・アイデアを、だよ?

二つの圧力鍋

じゃごいも♪シチュー・カレーは圧力鍋、と我が家では決まっている。 一人暮らしをしてもう7年目となるが、フライパンを買い替えたことはないくせに、圧力鍋は一度買い替えた。 買い替えた、というのも実はおかしくて、二個目を買った、と言ったほうが合っている気がする。 鍋ではないこっちは、替えたのか替えられたのかよく判らないが、“カノジョ”も二、三度そういうことがあった。 当時、買いたての圧力鍋を使いたくて使いたくてで、彼女の家にまで持ち込んで料理をした。 「圧力鍋?高かったんじゃないの?」 相手も欲しがっていたものだから、声に少しだが非難の色が交じる。 スチール製で重かったが、圧力鍋にしては千円と安かった。 ゴロゴロ大きい野菜が短い時間でやわらかくなる便利さに、彼女の声はトゲをどこかに忘れてしまったらしい。目はキラキラしてきた。 「おいひー、じゃごいも♪ほふほふー」 自分の作ったものを美味しそうに食べてもらう… ほくほくのじゃがいもが胃も心もあたためてくれた。 「重いし、置いていくわ」 ある日置き去りにした圧力鍋は、そのときは思いもしなかったが、帰らぬ人となってしまった。 関係がギクシャクしてしまい、なんともならず、とうとう別れるんだなというとき、 彼女の家の駐車場で僕は運転席から窓を開け、最後の会話をした。 「あ…圧力鍋は?」 「あぁ…、重いし…よかったら使って」 じゃあ、と言って急ぐ用事もないだろうに、逃げるように車を走らせた。 しばらくして新しい圧力鍋を買った。 同じのを買うのも、それより見栄えの悪いのを買うのもシャクだったので、 少しイイやつを買ってみた。 ステンレス製で重いは重いが、ピカピカに輝いている。 前のやつは光沢加工がされていなかった。 圧をかけたとき、あまりに重りがプシュー!っと勢いよく回るので驚いた。 前のやつはちょっと浮いてコトコト動くだけ、今度のはかなりジャジャ馬だ。 カレー、シチュー、角煮… 料理をするたびに、前のやつは…、今度のやつは…、前のやつは…、 いつも比べていた。 失敗して焦がしてしまうと、「あぁ!前のなら失敗せぇへんのに」。鍋に向かってどなったりもした。 前の鍋でした失敗など、どこかに消えてしまったようだ。 幾日、幾月と経ち、ある日から二つの圧力鍋を使いこなすようになった。 あっちではコトコトお鍋、こっちではプシュー!お鍋。 ずっと使おうと思っていたものが、急に帰らぬ人となったり、 もういないんだ、と思ったら急にまた出逢ったり…。 鍋の世界もなかなか旨くいかないが、それがまた面白いとこなのかもしれないな、と今は思う。 (じゃごいもでヒット中♪) (電熱器 圧力鍋でもヒット中♪)